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カワゴ平火山 黒曜石飴
静岡県伊豆市筏場

カワゴ平火山 黒曜石飴

粘りけ強く出づるヒカリは天(甘)つ城にきらめく星のごとし

特定原材料等28品目:なし

およそ3200年前、天城山の山奥にあるカワゴ平火山が大規模な噴火を起こしました。その規模は伊豆東部火山群最大規模の噴火で、噴出量は7億6000万トンと言われています。

特筆すべきは、それまで東部火山群で起きていた安山岩質の噴火とは違い粘り気の強いマグマが起こしたものだということ。膨大なエネルギーで空高く上がった噴煙から広範囲に噴出物を降らせ、飛距離もハンパなく火山灰は福井の水月湖まで到達しており「カワゴ平火山灰」として年縞にしっかりと記録されているのも興味深いところです。火砕流や溶岩流も発生し一部には黒曜石が含まれており、斜長石という白い鉱物をたくさん含むためまだら模様が特徴的です。ちなみに黒曜石は流紋岩が高温高圧の状態から、何らかの事情が発生し急速に冷やされてできた岩石になります。この噴火はそれだけで収まらず、黒曜石がマグマの熱に侵されて天城坑火石という軽石が誕生しました。伊豆の一番高い陸上火山のもとで起こったこの噴火は、大量に吹き上がったり、急冷されたり、また熱されたり当時はてんやわんやだった様子が想像されます。このようにしてできた火山噴出物たちのすき間にしみこんだ大量の雨水は末端で清廉な湧水となり、伊豆を代表する筏場(いかだば)のわさび田をとなりました。ほっこり。

まったく余談ですが渋谷にあるモヤイ像は伊豆諸島の新島で産出された坑火石で作られているのです。近くに行ったら坑火石とはどんな手触りか、ぜひ確認してみてください。